ダーウィンの悪夢 [┣映画(ミニシアター)]
製作年 : 2004年 フランス=オーストリア=ベルギー
配給 : ビターズ・エンド
公開日: 2006年12月23日
一匹の魚から連鎖的に起きた環境の変化。グローバリゼーションは何を生んだか?南北問題を問う硬派のドキュメンタリー
今年第一本目の映画は、ダーウィンの悪夢。社会派ドキュメント映画です。
お正月の休みのためかお昼の上映にもかかわらず満席。大人気でした。年配の方から小学生まで幅広い客層です。子供が見てわかるかどうかは不明ですが。
タンザニアのヴィクトリア湖周辺はダーウィンの箱庭と呼ばれるほど豊かな生態系がナイルパーチと呼ばれる白身の魚が放たれたことによって生態系が崩れた。生態系にとどまらず、ナイルパーチを食用にするEU諸国、日本等の需要に応えるため、タンザニア第二の都市ムワンザでは働く人々の職種も代わり、貧富の格差、HIVの蔓延と国のシステム自体が明らかに変化してしまった。
それは食のグローバリゼーションだけにとどまらなかった。EU諸国は軍事産業をもアフリカ諸国にばら撒こうとしていた。先進国がアフリカを食い物にして富を得ようとしている現実がそこにはある。貧しいアフリカでは軍隊に雇われることで生計を立てようとしているという事実もそこにはあるのだ。彼らは戦いが好きだという。本当なのかとおもうかもしれないが、ドキュメンタリーであることから考えれば彼らの本心なのだろう。生きるためなのか、殺戮がすきなのかそれはさだかではないが、映し出される現実に唖然とさせられる。
そういえば、昨年の同時期にみたホテルルワンダは内戦問題だった。しかし、タンザニアの空港にはルワンダや、リベリア、ザイールの内戦や、国対国の戦いで用いられる武器がEU諸国から運ばれていたのだ。運ばれてこなければ、戦争は起こすことができない。この度映像の中でも人々はそういっている。
しかし、今日も飛行機はタンザニアに向けて毎日2便飛び続ける。まったく変わることがない。毎日が続くのである。
ナイルパーチの現実だけでなく、アフリカの置かれている現状ってわれわれの想像を超えるほどのものなのかもしれない。
★★★★★ 星5つです。(これはドラマじゃない。)
あらすじ:アフリカのヴィクトリア湖。かつてそこでは多様な生物が棲む「生態系の宝庫」だった。しかし半世紀ほど前に放流された外来魚ナイルパーチが、他の魚を駆逐していく。それと同時に湖畔では、ナイルパーチの一大漁業産業が発展。加工された魚は、毎日のように飛行機でヨーロッパへ運ばれていく。それは湖畔に住む人々に、大きな影響を与え始める…。
監督 : フーベルト・ザウパー
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