荻原浩 明日の記憶 [●本(小説)]
渡辺謙主演で大ブレイクした映画「明日の記憶」の原作本がようやく文庫化。
タイミングとしては先日読んだ間宮兄弟とおなじ感じだ。原作本がブレイクし、映画化で再ブレイク、そして満を持して?かどうかは不明だが文庫化するパターン。上映から1年はたっているので細かい描写までは忘れてしまったがあらすじについては印象深いので大体覚えている。
映画とほとんど同じストーリーだったのですぐに当時映画を見た記憶がよみがえり、描かれている世界が頭の中に広がってきた。やはり50代で発病してしまうというのは苦しいだろうな~。映像の場合は、渡辺謙の演技を通してそのつらさが伝わってくるが、文章からも自分は若いと思うのだが、記憶があいまいになっていくもどかしさ、それを受け入れられていない自分の葛藤がとてもうまく表現されている。
仮に自分がなったとしてもこのような対応を取ってしまうんじゃないかと思わせるところが評判となった理由でもあるのだろう。
本書の中では、家族はやさしく支えてくれ、周りの人たちは支えてくれる人もいれば、悪用しようとする人もいるということが対極的に描かれているが実際の世界はどうなのだろうか。家族からも擦れられちゃう場合もあるだろうし、周りの人がみんなサポートしてくれる場合もあるだろう。いろいろなパータンがあると思われるが、いちばん現実的なところなのが本書に描かれているパターンなのかなぁ。
ということなどいろいろ考えさせられる小説であった。山本周五郎賞を受賞した作品だけはありますな。
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