霧村悠康 細菌感染 [●本(小説)]
摘出―つくられた癌に続いて霧村悠康の文庫を読むのは2冊目。
今回も当然のことながら医療物です。医療物と言えば、今まで読んでいた久坂部羊氏と、霧村悠康氏ですね。どちらもお医者さんなのでその描写はかなりリアル。医療ものはどうしても隠ぺいされた世界のような印象があり、今回の細菌感染についてもこんな世界本当にあるんじゃないかと思わせる内容。
われわれが作り上げたイメージなのかもしれませんけど、医学だけでなく、理工学においても教授がねつ造してしまう世の中ですからありえるかもなぁ。しかも閉鎖的な環境ですからこの本に描かれているようにセクハラもパワハラもあるように思うし、医療倫理の欠如も少なからずあるのかもしれない。
そんなみんながあるかもと思っているテーマをうまく描いていると思いますね。教授の最期はなんとも情けない感じもしますけどあきあせない語り口はもう作家の域にはいってます。
次の作品も医療もの、早く文庫化されないかな。それにしても文庫の割に値段が高いのはどうにかならないものだろうか。
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